【MTGアリーナ:脱初心者向け「テキスト違い」によるライフ挙動】失う・支払う・ダメージを与える
以前書いたフェイズ関係の脱・初心者向け記事が
好評だったみたいなのでもういっちょ書いてみます。
今回紹介するのは…
似てるようで挙動が異なる以下の3つ。
- ライフを失う/lose X life
- ライフを支払う/pay X life
- ダメージを与える/deals X damage
これらについて
どんな違いが実際におこるのかを紹介します。
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Contents
失う(lose)・支払う(pay)・ダメージを与える(deals X damage)
例えば以下のようなケース。
- あなたは2点のライフを失う
- 2点のライフを支払う
- 〇〇はあなたに2点のダメージを与える
何も干渉しない状態であれば上記全てにおいて
「あなたのライフが2減る」という結果をもたらすわけですが
実は干渉された場合は異なる挙動を取ることが多々あります。
失う(lose x life)
英語では「lose X life」と表記されます。
スタンダードの代表的なカードとしては
コントロールに強い《炎鎖のアングラス》のプラス能力
DJことアリストクラッツ系デッキで使われる
《忘れられた神々の僧侶》の起動能力による効果
同じくアリストクラッツ向けのカード
デヴィ婦人こと《残酷な祝賀者》の死亡誘発ドレイン効果
灯争大戦でゾンビカードが大量に増えたことで
高騰の気味の《死が触れる者、リリアナ》のプラス能力
などなど…。
かなり多いです。
「失う」と「ダメージを与える」は「別物」である
慣れたプレイヤーでも勘違いしやすいんですが…
「ライフをX点失う」と「X点ダメージ与えられる」は
結果として「ライフがX減る」としても「実は別物」です。
例えば…
こんな盤面を考えてみましょう。
盤面には以下の2体のPWが並んでいます。
- 灯争大戦の新PW《敬慕される炎魔道士、ヤヤ》
- 管理人の好きなPW《炎鎖のアングラス》
問題1:ショックを相手プレイヤーに打つと何点?
上記盤面で本来なら2点火力の《ショック》を
対戦相手に打った場合何点になるでしょうか?
・・・
・・
・
答え:3点
理由としては《敬慕される炎魔道士、ヤヤ》の常在型能力により
「2+1=3点のダメージをプレイヤーに与える」ためです。
※ヤヤ常在型能力:あなたがコントロールしている他の赤の発生源がパーマネントやプレイヤーにダメージを与えるなら、代わりにそれはそのパーマネントやプレイヤーに、その点数に1を足した点数のダメージを与える。
問題2:アングラスの+1効果を使うと相手はどうなる?
ではでは続いて…アングラスの+1効果
「各対戦相手はそれぞれ、カード1枚を捨て2点のライフを失う。」を起動。
対戦相手は結果的に何点のライフを失うでしょうか?
ヒントとしては
「失う」と「ダメージを与える」は「別物」という点です。
・・・
・・
・
答え:2点のライフを失う
アングラスは赤いパーマネントなので一見すると
「2+1=3点のライフを失う」ように思えるのですがこれは間違い。
MTGにおいては
「ライフを失う」ことと「ダメージを与えること」は「別物扱い」です。
ですのでヤヤの常在型能力はアングラスには影響せず
「2+0=2点のライフを失う」のが正しい挙動になります。
問題3(応用編):治癒の恩寵を唱えるとどうなる?
ドミナリアの分かりにくい系カードに
《治癒の恩寵》というカードがあります。
※治癒の恩寵:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、あなたが選んだ発生源1つからそれに与えられるダメージを次の3点軽減する。あなたは3点のライフを得る。
今度は逆の立場で…対戦相手が
能力未使用の《ヤヤ》と《アングラス》を
コントロールしているとします。
- あなたのライフは1点
- あなたのハンドは1枚(治癒の恩寵が使える状態)
- 相手のハンドは0枚
- このターンを凌げばあなたの勝ち
対戦相手が「アングラスの+1能力」を使ってきました。
このままでは「2点ライフを失って」負けてしまいます。
どうするのが正解?
ちなみにヤヤはマイナス効果で
「プレイヤーに2点のダメージを与える」ことが可能です。
・・・
・・
・
答え:治癒の恩寵で「自分」と「ヤヤ」を選ぶ
そうすることで…
「あなたを対象とする。このターン、ヤヤ(選んだ発生源)からあなたに与えられるダメージを次の3点軽減する。あなたは3点のライフを得る。」という効果になります。
アングラスのプラス能力は
ダメージではないため軽減不可能。
一方でヤヤのマイナス能力は
ダメージなので軽減することが可能。
治癒の恩寵を唱えたことにより
このターンはヤヤからあなたに対して直接2点ビームが飛んできたとしても
その内3点分は軽減されることになるので実質0点ビームへと変わることになります。
アングラスのプラス能力で2点を失う前に
治癒の恩寵のもう一つの効果で3点ゲインするので敗北回避。
相手は勝ち筋が無くなり、このターンを凌ぐことができました。
間違ってヤヤではなくアングラスを指定した場合は
アングラスの「失う」効果は軽減できないために2点食らい、
更にヤヤのマイナス能力の2点ダメージを受けて敗北。
*****
ちょっと難しかったかな?
分からなければコメントで質問してやってください。
支払う(pay x life)
英語では「Pay X life」と表記されています。
スタンダードの代表的なカードとしては
白単で使われる《アダントの先兵》をはじめ…
すべての多色デッキで使われているであろう
《各種ショックランド》に記述されていますね。
シナジーのある面白いカードとしては
ラブニカの献身の《苦悶の泉》などがありますね。
ライフがマイナスになる場合はそもそも支払えない
こちらに関しては分かりやすくて
「持たざる者はそもそも支払えない」というイメージ。
例えば《破滅を囁くもの》は「2点のライフを支払う/Pay 2 life」の起動能力を持っています。
- あなたのライフが10の場合 → 〇:起動可能
- あなたのライフが2の場合 → 〇:起動可能(普通は死ぬけど)
- あなたのライフが1の場合 → ×:起動不可能(マイナスになるので)
- あなたのライフがマイナスの場合 → ×:起動不可能(そもそもマイナス)
例えば…
《苦しめる声》は唱えるための追加コストとして
カード1枚を捨てる必要があるわけですが…
追加コストが支払えないのであれば
唱えられないのと同じイメージでしょうかね。
現スタンダードでの影響のあるカードとしては
《リッチの熟達》などが該当すると思われます。
本カードがある場合…
コントロールしているプレイヤーはライフがマイナスになったとしても
カードの効果「あなたはこのゲームに敗北できない」によって敗北しません。
しかしながら…
ライフはマイナスになっていて「持たざる者」な状態であれば
ライフを支払うような効果は一切使えないことになります。
ショックランドなども強制的にタップインになるわけです。
ダメージを与える(deals X damage)
英語では「deals X damage」と表記されています。
例えば《はぐれ影魔導士、ダブリエル》は相手アップキープに
対戦相手の手札が1枚以下だった場合にプレイヤーに2点ダメージを与えます。
赤いデッキがよく採用している《稲妻の一撃》は
プレイヤーに打った場合、そのプレイヤーに3点ダメージを与えます。
クリーチャーが能力によってダメージを与えるケースもありますよね。
例えば、《騒乱の落とし子》はアップキープに各プレイヤーに1点ダメージを与えます。
ダメージを与える系には「絆魂」や「接死」が付与されるケースがある
「ダメージを与える系スペル」は「失う」とは異なり
その効果に「絆魂」や「接死」を付与することが可能。
それにより面白い挙動を取ったり
コンボが狙えたりすることがあります。
面白いものを幾つか紹介してみます。
格闘/格闘ビーム
例えば…
灯争大戦の新マナクリ《力戦をうろつくもの》は
「絆魂」と「接死」の両方を有するクリーチャー。
シールドやドラフトなどのリミテだと必須テクになりますが
「絆魂」や「接死」を持つクリーチャーを参照して
格闘や格闘ビーム系スペルを使うと反映されます。
例えば…
対戦相手が能力を持たない100/100のクリーチャーをコントロールしていたとして
それに対して《力戦をうろつくもの》が《ドムリの待ち伏せ》で格闘ビームを飛ばすと
接死効果によって100/100クリーチャーを倒しつつ
更に+1/+1カウンターで3/4になっているので
絆魂効果によって3点ゲインのボーナス付き。
死に到る霊
面白クリーチャーとしては
ラブニカの献身《死に到る霊》
このクリーチャーは以下の常在型能力を持ちます。
※あなたがコントロールしていてインスタントやソーサリーである呪文は接死を持つ。
要するに「クリーチャーに〇点ダメージを与える」系のインスタントorソーサリー呪文は、ダメージを与えたクリーチャーを接死により破壊する効果を持ちます。
例えば《死に到る霊》をコントロールしている状態で
灯争大戦の2マナ除去《ソリンの渇き》をクリーチャーに打った場合
接死持ちクリーチャーから2点ダメージを受けた状態と同じ扱いとなり
ダメージを受けたクリーチャーが破壊不能を持たない限りは破壊できます。
似た効果のスペルに構築でも使われている《渇望の時》がありますが
コチラの効果はマイナス修正であってダメージを与えるわけではありません。
故に接死効果は発揮されません。
ロマンコンボとしては
《宇宙粒子波》を撃つと相手クリーチャーは全滅します。
デスチェイン
デスチェインとしてデッキ名にもなっている
《ゴブリンの鎖回し》と《席次/石像》による接死付与一掃コンボ。
鎖回しの戦場に出たとき効果「全体1点」誘発スタックで
席次によって「接死」を付与することにより
相手クリーチャーは接死クリーチャーから
1点ダメージを受けたのと同じ処理が適用されることになります。
結果的に相手クリーチャーは全滅。
復讐に燃えた血王、ソリン
灯争大戦のロマンのあるカードとしてはソリン。
常在型能力がロマンの塊です。
※ソリン常在型能力:あなたのターンであるかぎり、あなたがコントロールしているクリーチャーやプレインズウォーカーは絆魂を持つ。
例えばトークン以外の味方が死亡すると
あなたに1点ダメージを与えつつ1ドローできる《真夜中の死神》
ソリンがいる状態であれば
本来ならデメリットであるはずの1点ダメージを与える効果に対して絆魂が付与され、
「1点食らいつつ、1点回復する」という面白い挙動になります。
自分のターン限定ではありますが
実質0ダメージでドローできることになります。
自分のアップキープに自分と対戦相手に
1点与える《騒乱の落とし子》も面白い挙動をしますね。
本来であればお互いに1点ずつダメージを受けるので
ライフが1点ずつ減る計算になるのですが…
絆魂を持った状態で1点ずつ与えることにより
結果的に2点ダメージを与えているので
自分は1点回復して
相手は1点減ることになります。
結果的にドレインのような挙動。
《悪魔王ベルゼンロック》のデメリットも完全無効化。
仮に効果で10枚ドローしたとしても
本来なら10点ダメージ食らうことになりますが
絆魂が付いている状態だと10点食らって、10点回復するので実質0ダメージ。
仮にあなたのデッキのスペルが
全て4マナ以上の呪文で構成されていたとします。
(分割スペルを利用すれば作れるかも???)
戦場に《ソリン》と《ジェイス》がいる状態で
《悪魔王ベルゼンロック》を唱えるとライブラリが0枚になり
セルフLOコンボも狙えますね…笑
放浪者
ソリンと同じく…面白いのが《放浪者》ちゃん。
※放浪者常在型能力:あなたや、あなたがコントロールしている他のパーマネントに与えられる、戦闘ダメージでないダメージをすべて軽減する。
要するにですね…
「あなたにダメージを与える」と書かれている呪文の
ダメージ的なデメリットをすべて無効化できることになります。
※ちなみに「失う」という効果はダメージではないため無効化できません。
ソリンと同じで《悪魔王ベルゼンロック》も
ノーダメージでドローできちゃいますね。
ソリンの場合は絆魂によってダメージを相殺してたわけですが
放浪者の場合は根本的にダメージを受けないので処理は異なりますが。
効果は強いものの2点ダメージが痛い故に
構築だとほぼ使われていないドロースペル《概念の雨》に関しても
放浪者がいる状態であればデメリットの
自傷2点ダメージ効果をかき消してくれますね。
でもって一番面白いのがこちら。
《戦慄衆の指揮》によるスーパーリアニコンボ。
放浪者がいる状態であればダメージを無効化してくれるため、
お互いの墓地に落ちているクリーチャー&PWをデメリット無しで
全てリアニメイトすることが可能になります。
1000マナ分のリアニでも
0点ダメージでOKですね。
※リアニメイト:墓地から戦場に戻す
所感&おまけ
…というわけで
「失う・支払う・ダメージを与える」の3つの違い。
今はまだ何となくかもしれませんが
違うということが分かってもらえたでしょうか。
一番悪さできるテキストは「ダメージを与える」です。
全く騒がれてはいませんが
現環境は特に《放浪者》というカードが刷られたことで
自傷ダメージを与える系のカードはダメージをすべて相殺することが可能です。
新カードが発表された際は
注目してみると面白いコンボが見つかるかも。
似てるようで違うカードその1:執念深い吸血鬼vs残酷な祝賀者
自分以外が死亡するたび、各対戦相手にそれぞれ「1点のダメージを与え」、あなたは1点のライフを得る。
自分(とPW)も含め、死亡するたび、各対戦相手はそれぞれ「1点のライフを失い」、あなたは1点のライフを得る。
似てるようで違うカードその2:刃の曲芸人vs薄暮軍団の盲信者
戦場に出たとき、これはあなたに「1点のダメージを与え」、あなたはカードを1枚引く。
戦場に出たとき、あなたはカードを1枚引き、あなたは「1点のライフを失う」。
*****
特に干渉するカードがなければ
全く同じ効果のカードではありますが
干渉するカードが絡んでくると
実は挙動が変わることもあるよー!…ということで
以上です。
「失う・支払う・ダメージを与える」の違いでした。
またね。ノシ。